オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

手のひらを空へ

 12月に入ってからすこぶる天気の良い日が続いている。

 この1週間も寒くはあったが日中は快晴だった。

 毎朝、ワンコ達を連れて散歩をしている。時間にして40分程度、3Km程度の距離。在宅勤務による運動不足対策の一面もある。

 12月になって日の出も遅くなっており、空が明るくなり日差しが射し始めるのは7時少し前。この時間帯を中心に散歩を考えないとやはり寒い。

 日差しがあるかないかで体感温度は相当に違う。ワンコ達には関係ないようであるが…。彼らはいつも元気一杯。

 2匹を連れて散歩しているとありがたいことに通りがかりの人に「可愛い〜」と言ってもらうこともある。これは親バカのように嬉しい。犬バカ?

 

 さて、うちに帰ってくる時間は凡そ7:30〜7:40であるが、7時過ぎに北の遠くの空にポツンと飛行機が飛んでいるのが見える。

 姿は小さいのであるが天気が良いのではっきりと見える。

 毎朝見ている間に「あの飛行機、どこら辺を飛んでいるのだろう?」と考えるようになった。

 心当たりはある。

 恐らくあれは羽田〜福岡便だ。

 私自身がそれに乗った際に、自分の住む地域の上を飛んでいるのを機上の窓から見たことがある(近所に大きな目印があるので分かる)。

 この路線は羽田空港をテイクオフした後、東京湾を大きく右旋回し神奈川県の藤沢、厚木付近を横切り、静岡/山梨の県境上空を突っ切って飛んでいく。途中でちょうど富士山の真上を飛ぶ。

 この時の窓からの景色は絶景だ。九州に行く際には左側の窓側座席を取ることをお勧めする。

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Mt.Fuji(その時の写真)

 私がよく使っているのは、福岡空港に10:00〜11:00頃に到着する便。時刻表で調べてみるとJAL307かJAL309便になる。

 この路線はドル箱であり比較的大きな飛行機が機種選択される場合もある。ボーイング737-800だと座席数160人とやや小ぶりであるが、エアバスA350-900だと300人以上を乗せて飛んでいる。

 私が毎朝見ているのは恐らく時間帯からも羽田7:00発JAL305便ではないかと思う。機種はボーイング767-300。全長55mとのこと。

 この大きな機体が随分と小さく見えているのであるが、どれくらいの大きさかというと視直径で0.3度くらい。

 なんじゃ、その大きさ?

 意味が分からん!

となりそうだが、ちょっと待って。誰でも体感する方法がある。

 見えている機影に手を伸ばし人差し指を向ける。

 指先の太さとの機影の比率をざっくりと測る。

 人差し指の先端太さは凡そ1度だ。

 だから、私の目測では指先の1/3程度の機影であったということ。

 では、全長55mの飛行機が0.3度の視角で見えるにはどの程度の距離が必要か?

 これは三角関数を使えば計算できる。

 sin 0.3° = 0.00523596 

 飛行機との距離×0.00523596 = 55m

 つまり、距離=10504.27424m 

 ざっくり10Km程度となる。これ、なかなかいい線いってるのではないかと思う。

 因みに、

 sin 0.5° = 0.00872653

 sin 1.0° = 0.0174524

 sin 3.0° = 0.052335

 先ほどの指先を使った目測でいうと、0.5°は指先半分、1.0°は指先1本分。

 3.0°は手の指を立てた時、人差し指から薬指までの間隔だ。

 見ている対象物の凡その大きさがわかっている場合、その大きさを視直径のsin値で割り算すれば距離が分かる。

 分かりやすく概算値をいうと、指一本分の場合、凡そ対象物の60倍、半分の場合100倍、1/3の場合200倍、指3本分の場合20倍が概算距離になる。

 簡単な所作であるが指を使って概算距離は測れますよということ。

 因みに太陽と月の視直径はほぼ同じ(だから皆既日食は起きる)。指先半分程度だ。

 これ、実は伸ばした腕先から5円玉の穴を見た時の大きさとほぼ同じ。試してみてほしい(ただしお月様で。太陽を直接見たらダメよ)。

 

 では、腕を伸ばして手のひらを大きく広げてみよう。

 この時の親指から小指までの角度が凡そ15°

 これは星空が1時間に動く角度だ。

 窓から星・星座を見ても、まだ東側に見えづらいと思ったらこれで角度を測ってみる。手のひら3つ分であれば3時間後には真正面に目当てのものが来るということ。それまで映画を1本見て待ちましょう。

 手のひらって使い出がある。

 

 この方法で前を向いて歩いている時の視野を測って見たらせいぜい手のひら3つ分だった。

 私たちの視野ってこんなに狭いんだ…。

 見ているようで見ていない。

 気づいているようで気づいていない。

 知っているようで知らないのだ。