オリオン座が沈む窓

azuyuz captain's log〜”ゆず”艦長の航海日誌

東洋の計算機

 思い切りアナログかつローテクの計算機。

 しかし、この計算機は足し算、引き算にめっぽう強い。

 

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 現代においても、珠算チャンピオンと電卓マイスターが足し算だけでスピード勝負をやれば、拮抗したものになるのではないだろうか。

 若い頃に、メインフレームの某製造工場でキーパンチャーやDES(DATA ENTRY SYSTEM)入力をするお姉さん方を見た事があるので、キーボード入力が決して遅いと思ってはいない。

 この計算機が勝るであろう理由は、計算すべき数字の桁数が増えても、手(指)の最小移動範囲で算術が出来るからだ。電卓だと、"+/ー" キーを押す祭、どうしても盤上を横断するアクションが必要となる。

 この計算機は、現在でも十分に実用的であり、商売の現場でも堂々と現役を保っている。

 これがこの世から無くなるのは、もう少し先であろう。

 今、話題になっている「ハンコ(印鑑)」の方が先にその使命を終える可能性がある。

 

 この「優れモノ計算機」を発明したのは、当然「中国」と考えている人は多いと思う(私もそう)が、実は「欧州発祥」との説もあるそうだ。

 欧州にも「アバカス(abacus)」と呼ばれる計算機がある。

 その歴史は古く、「線そろばん」は古代ギリシア、ローマでは「溝そろばん」、更に以前の「土砂そろばん」になると、古代メソポタミアで3000〜4000年前から使われていたと百科事典には書いてある。

 当時は、小石を珠の代りに使ったり、砂に線や記号を書いて計算していた。

 日本へは1570年頃、貿易商人により長崎や堺などの港街に中国製のものが持ち込まれたらしい。1595年に出版された訳語辞典には、"Abacus"の対訳として "Soroban" の表記があるとのこと。

 因みに中国ではこの計算機を「算盤」と書くらしいが発音は「スアンバン」。恐らく、これが「そろばん」の語源であろう。

 私は小学4年生の頃から「そろばん」を習い始め、資格では「珠算検定2級」までは昇級したが、中学に入りバレーボールをやりたかったことを理由に塾を辞めた。

 姉は検定1級まで昇級したが「もうこれ以上はいらない」と言って辞めた(1級の上には”段”がある)。姉とは1級違いであるが、実力の差は歴然。

 「1級」には、おいそれとなれるものではない。私は姉には全く叶わなかった。

 

 そろばんを覚えるメリットは、幾つかあるが「桁数の多い暗算が出来るようになる」を1番に挙げたい。

 これは、頭の中に「算盤」をイメージし、実際に指を動かし頭の中の珠を弾いて計算を行う。頭の中にある「算盤」は自在に動く。計算結果は、珠の配置イメージで出せる。

 上級者になると恐らく億単位(9桁以上)の計算が出来ると思う。私でも10万単位ぐらいまでは出来たんじゃないかと思っているが、勘違いの可能性もある。

 

 さて、最後にそろばんを弾くときのウォーミングアップ法を一つ紹介する。

 上の写真の珠の配置を見て欲しい。

 1億2345万6789円だ。

 これを9回足し算してみてほしい。そうするとある事が起きる。

 答えは電卓を使えばすぐ分かる。答えは問題じゃない。

 9回めの珠の動きがポイント…

 これが現れると、自分の指は正しく動いている事が証明される。